ウォーレン・モズラーの名刺 ~ 内生説による価値の確立(具体例) ~

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前回は、貨幣に価値を付与する「内生説での価値の付与の方法」として「租税貨幣論」のお話をしました。
(因みにこの「租税貨幣論」の中には更に「信用貨幣論」という論が含まれているのですが、それは後日説明します。)

今回は、この「租税貨幣論」という考えが真実正しい、ということを証明するための「具体例」として「ウォーレン・モズラーの名刺」という物語をお話します。
この物語はMMT(現代貨幣理論)が有名になった2019年のゴールデンウィーク以降、盛んに使われた例題でもあるので、よくご存じで説明が不要の方もいるかと思います。

ですがこの基本はとても大事です。
この基本がわからない人がMMTを批判し、日本をデフレのまま20年以上放置してきたわけです。

是非皆様もこの基本を頭の中でシミュレートしてみてください。


■ウォーレン・モズラーの名刺■

アメリカ人のウォーレン・モズラー氏はお金持ちでプール付きで庭も広い豪邸に住んでいました。

しかし、そんな広い豪邸に住んでいる子供たちは家の手伝いを何もしません。

つまり、言い方は悪いのですが、タダで住んでいる状態で、家を維持するための仕事をしていない、ということですね。

モズラー氏は子供たちに家の維持のための手伝いをさせるために、こんなことを言い始めました。

「家のお手伝いをしてくれたら、パパの名刺を上げよう。(ドヤァ)」

勿論、子供たちはそんな父親の話を聞いても手伝ってくれるはずはありません。
子供たちにとってみれば
「パパの名刺なんて欲しくないもの(何言ってんの?)」
という実に当然の理由です。

つまり、子供たちにとって「パパの名刺」「労働をしてして手に入れたいと思うほどの価値は無い者」だったのです(父親の面目丸つぶれですね)。

しかし、次のルールをモズラー氏が定めることで、子供たちは目の色を変えて「パパの名刺」を欲しがることになりました。

「月末までに20枚、この名刺をパパに提出しないとこの家を追い出すぞ!」

この快適な豪邸から出ていきたくない子供たちは月末までに何とか20枚の名刺を集めようと、邸宅内の様々な仕事を行うのでした。それほどの価値が名刺にはあるのです!

「お父様、食後のコーヒーをお持ちしました(名刺くれ)」
「お父様、お肩をお揉みしましょうか?(名刺くれ)」
「お父様、何か手伝いすることはございませんか?(名刺くれ)」

終わり


ちょっと子供の教育としてはどうかな、と思ってしまいますが、それはまぁ置いといて。
この「ウォーレン・モズラーの名刺」の逸話はつまり比喩です。

①名刺=貨幣(紙幣)
②手伝いをしてくれたら名刺を上げる=労働賃金
③月末に20枚の名刺の父親への提出義務=政府の徴税


分かるでしょうか?
これが「租税貨幣論」による「価値の付与の仕方」です。
商品貨幣論のような分かり易いプロセスではないですが、こうやって具体例を出し見るとそれほど難しい考えではないこと、そして意外と強い説得力があるのが分かります。

そしてさらに分かることがあります。
「価値を付与する」方法として、この方法では「外部の実物商品との交換をする必要がない」ということになります。
つまり、「価値を貨幣内部に生じさせる方法」ということは「政府が徴税をすること」、「徴税するほどに貨幣を政府が欲しがること」なのです。

③の政府の徴税があって初めて「内生的に価値が生まれる」のです。

以上が、「内生説」です。

さぁ、次は「外生説」「内生説」を比べて、
外生説の欠点、内生説の利点を述べたいと思います。

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貨幣の持つ価値の確立 3.~ 内生説による価値の確立(概念) ~

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ちょっと間が空いてしまい失礼しました。
文章を書く、という行為はモチベーションが大切になるのですが、
私は執筆モチベを保つのが結構苦手です。
今後も、このようなスローペースでの不定期更新になるかと思いますが、
お見捨てなきよう、よろしくお願いいたします。


今回は「内生説」についてですが、実は2回に分けて説明しようと思っています。
少し長くなりますが、しかし、落ち着いて読めば決して難しい内容ではありません。
ゆっくりと紐解いてゆきましょう。

先ずは前回同様、内生説に関しても一般的な経済学上での説明である1番底を取り上げてみます。

銀行が借金を申し込んだ人物に貸出を行った結果、貨幣が発行される。
これを「信用創造」と言う。
そして借金で生じた貨幣を返済すると、貨幣は消滅する。


・・・正直、前回同様この1番底では理解できるはずがないです。
内生説の現象の一部である「信用創造」をちょっと語っただけで、内生説という言葉の「貨幣の価値が内に生じる」ことについては完全に説明を放棄しています。
信用創造は内生説にとって重要なものですが、内生説そのものではありません。
(信用創造は後々語りますね。)

では1番底では説明されていなかった部分、「貨幣の価値が内に生じる」というところの、どこが「内に生じる」なのかについて、2番底として私なりの説明をさせていただきます。

政府が国民に納税義務を課すことで、「貨幣に価値がある」という共通認識を国民に持たせる。

これが2番底の、私流の説明となります。

分かるでしょうか?
前回の外生説、商品貨幣論での「価値の付与の仕方」とは、明らかに違いますよね。
ここでは価値を付与するのは「政府の税金を集める行為=徴税」である、と言っているわけです。
これを「租税貨幣論」と言います。
そして、徴税をすることで「貨幣そのものに価値を生じさせる」ことを内生説、内生的貨幣供給論、と言います。

政府の「国民の持つお金(貨幣)が欲しい!」という欲求が
「徴税」として実現した時、
  ↓
国民は「政府が欲しがる貴重な価値のある物=それが貨幣なんだな」
と認識することで、
  ↓
貨幣そのものに価値が付与されるのです。

さて、ですが、多くの人は以上の説明を読んでも
「本当にその方法で貨幣の内部に価値が付与されるのか?」
と、疑問に思うと思われます。

外生説、商品貨幣論シンプルで理解しやすいですよね。
それに商品貨幣論に基づいた行為、つまり商品と貨幣の交換は、私たちが商品を売買する行為として日常に定着してるので、具体例を出すまでもなく断然そちらの方が「リアリティ」があります。
それに「実物」という現物があるので、価値は疑いようがありません。

一方、内生説、租税貨幣論は日常では具体例が思いつかないので、まるで「空想」のように聞こえると思います。
実際、「徴税」による「価値あるもの」という「概念」が中心の理論なので、「そんなあやふやなものは価値にはならない」と思うかもしれません。

ですが、私は外生説は間違っていて、この内生説、租税貨幣論こそが正しい、と確信しています。

そこで次回は内生説、租税貨幣論が正しいことを証明するために、
「ウォーレン・モズラーの名刺」
というある有名な具体例を出して皆さんにリアリティを持ってご説明したいと思います。
(因みに「租税貨幣論」の中には更に「信用貨幣論」という論が含まれているのですが、それはおいおい説明します。)

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